天然忌
天然忌のお稽古。天然忌とは、中興の祖といわれる、江戸時代の7代目如心斎を偲ぶ機会です。

天然忌には、「芙蓉」の花を飾ります。掛軸は「天然円相」といって、○がかかれたもの。如心斎は死後自分の画像を書くな、ということで代わりにこの円相を記した掛軸をかけることになっています。このエピソードってとっても「和」って感じで大好きです。○を見てるといろんなイマジネーションが湧きますね。とても哲学的だと思います。

芙蓉の花もとっても好きな花。残念ながら、お稽古の当日にはつぼみのままでした。さすがに、お稽古の日に合わせて花を咲かせるなんて不可能だし(笑)。
でも、ふたつの芙蓉のつぼみ、控えめで清らかで素敵でした。

竹台子こちらの竹台子(たけだいす)は、如心斎お好みのお棚だそうです。

今日は、「中置」というお点前でした。風炉を棚の真ん中に置くお点前です。その結果、普段は水指(水を入れるツボ)はお釜の右(客付)に置いてあるのですが、この竹台子の時には、左手に置きます。そのため、普段とは茶碗の置き合わせが少し異なります。

ものの本によると、「中置」とは、そろそろ火の暖かさが恋しくなる頃に、少しでも客側に火を近づける、という亭主の心配りから風炉を客側に少し寄せて置く、ということからきたそうです。(「茶道お稽古手帳」より)
まさしく季節が感じられる心遣いですね。


写真にはないですが、本日使った水指は赤楽の筒型の背の高い水指。楽だけあってしっとりと温かみのある質感で素敵でした。
中置の時は置き場所が狭いので、胴回りの細い細水指を使用するそうです。
そういう道具の取りあわせにも、先生のお心遣いが感じられます。

アコダの茶入そして棗はアコダの茶入というもので蓋には花押が入っているものでした。蓋は桑でできていてなかなか味があります。堂々としててつやつやとして存在感があります。

来月は10月。10月は茶の湯では、「名残の季節」となります。
これには2つの意味があって、1つ半年間慣れ親しんだ風炉の茶の湯への別れであり、一つは口切から使い続けた葉茶壷の茶が残り少なくなり、名残を惜しむという意味もあります。

そろそろ袷(あわせ)の季節。着物道にも気合が入ります