写真好き、と自称している割には大物写真家を知らない私。

すこしずついろんな写真家の写真を見に行こうと思っていた矢先にBunkamuraでマン・レイの写真展が開催されているのを知りました。今日は会社がお休みだったので、早速見に行ってきました。

マン・レイといえば、マルセル・デュシャン、というか、私はデュシャンのポートレイト写真を見て、彼の名前を知りました。そのポートレイト写真にとても独特なパワーを感じたのを覚えています。写されている人の存在の哀しさ、のようなものが写されていて、ただそのものを写すはずの「写真」というものの威力に驚きました。

今回写真展に行ってみて初めて知ったのが、「マン・レイ」というのが芸名(?)だったということ。「光の人」という意味の言葉だったのですね。彼の撮った写真を見ていると、本当に「光と影の芸術」を作り出した人なんだな、と感じました。彼が活躍した時代は、まだ写真が進化途上にある20世紀の前半。もちろんモノクロ写真の時代です。

彼は元々、芸術作品を記録に残すために写真を撮り始めたそうですが、その後、生活のためにいろんな人物(とくに芸術家)のポートレイトを撮っていました。今回、20世紀アートの中でも有名人ばかりの展示で驚きましたが、本当にこのポートレイトが味があるんですね。ちょっとした顔の角度だったり、撮影のアングルだったり、ということなのですが、その人の雰囲気がもっとも良く現われる撮り方をしていると感じます。彼の写真を見ていると、おそらく現在のポートレイト写真のアングルのテクニックはきっとマン・レイから来ているんだろう、と思わせるようなほど、完成度が高いんですね。また、この時代の写真の特色なのでしょうか、白黒写真にとても味があります。

それがマン・レイ特有の静的でクールな感じと絶妙に混じり合っています。被写体の静の層だけを取り出して、そのまま凍結させて印画紙に焼き付けた感じ。それが、その人や物の存在を浮き彫りにしていて、とても心に染み入りました。写真がまだ技術的には発達していなくても、これだけのものが撮れる、というのはやはりツールとしてのカメラだけの力だけではなく、マン・レイの人を見る眼の素晴らしさがあってこそのものだと感じました。